障害児/者支援施設で利用者の意向や障害の特性を踏まえたうえで、放課後等デイサービスや児童発達支援、生活介護、自立訓練、就労移行、就労継続支援、施設乳所支援などの障害福祉支援サービスを提供している障害者支援施設職員。やりがいもあり社会貢献度も高いのが特徴ですが、仕事が大変な割に給料が低いという現状によって職員の人数は減っています。
そこで本記事では、福祉・介護職員処遇改善加算について、支給対象から計算方法など詳しく解説しています。
目次
1.放課後等デイサービスにおける報酬決定の仕組み
2.福祉・介護職員処遇改善加算とは
2-1.対象の職種
2-2.算定要件
2-3.キャリアパスとは
2-4.職場環境等要件とは?
2-5.福祉・介護職員処遇改善加算の単位数(放課後等デイサービス)
3.加算対応以外の重要事項について
4.まとめ
1.放課後等デイサービスにおける報酬決定の仕組み
放課後等デイサービスではサービスを提供した事業所が得る売上のうち、約9割が国・自治体の公金によってまかなわれています。放課後等デイサービスにおける報酬額は、厚生労働省によって定められた「単位」をもとに計算されます。基本的には1単位=10円として計算されますが、1単位当たりの金額は自治体ごとに定められており、事業所の地域によって異なるためそれぞれで確認が必要です。
報酬額には、基本報酬に加え、より充実したサービスを提供した際に適用される加算と、基準が満たされていない場合に適用される減算を加味して計算されます。加算・減算ともにさまざまな種類がありますが、今回は福祉・介護職員処遇改善加算について詳しく解説します。
2.福祉・介護職員処遇改善加算とは
福祉・介護職員処遇改善加算とは、 キャリアアップの仕組みを作ったり職場環境の改善を行ったりした障害福祉施設や事業所に、福祉職員の安定的な処遇改善を図るための制度です。
福祉という仕事は社会貢献度も高く大きなやりがいを感じる仕事と言われています。
しかし、身体的なお世話をメインとする仕事なので体力を必要とし、入居施設等では夜勤もあることから体力に不安を感じている人も多く、大変な割に給料が低いというマイナスなイメージがあるのも現状です。
対象の職種
賃金改善対象職種は福祉・介護職員を含むあらゆる職種が対象となります。具体的には以下の職種が対象になっています。
算定要件
ここからは、算定要件について解説します。
福祉・介護職員処遇改善加算の算定要件
キャリアパス要件Ⅰ、キャリアパス要件Ⅱ、キャリアパス要件Ⅲ、職場環境等要件をすべて満たす。
障害福祉サービス等処遇改善計画書を作成する。
賃金改善処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善を実施する。
賃金改善を行う方法等について計画書を用いて職員に周知する。
障害福祉サービス等処遇改善実績報告書を作成し、提出する。
労働保険に加入し、労働保険料の納付が適正に行われている。
労働基準法やその他の労働に関する法律や法令に違反し、罰金以上の刑に処せられていない。
処遇改善加算(Ⅰ)の算定要件
キャリアパス要件Ⅰ、キャリアパス要件Ⅱ、キャリアパス要件Ⅲ、職場環境等要件をすべて満たす。
共通の算定要件を満たす。
処遇改善加算(Ⅱ)の算定要件
キャリアパス要件Ⅰ、キャリアパス要件Ⅱ、職場環境等要件を満たす。
共通の算定要件を満たす。
処遇改善加算(Ⅲ)の算定要件
キャリアパス要件Ⅰ、キャリアパス要件Ⅱのいずれかと職場環境等要件を満たす。
共通の算定要件を満たす。
処遇改善加算(Ⅳ)の算定要件
キャリアパス要件Ⅰ、キャリアパス要件Ⅱ、職場環境等要件のうち、いずれかを満たす。
共通の算定要件を満たす。
処遇改善加算(Ⅴ)の算定要件
キャリアパス要件Ⅰ、キャリアパス要件Ⅱ、キャリアパス要件Ⅲ、職場環境等要件のすべてを満たしていない。
共通の算定要件を満たす。
キャリアパスとは
算定要件に出てきたキャリアパス要件について解説します。
キャリアパス要件Ⅰ
福祉・介護職員の任用の際における職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件(福祉・介護職員の賃金に関するものを含む。)を定めている。
上記の職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めている。
上記2項目の内容について就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知している。
キャリアパス要件Ⅱ
福祉・介護職員の職務内容等を踏まえ、福祉・介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及び下記のいずれかに掲げる事項に関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保している。
資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等を実施(OJT、OFF-JT等)するとともに、福祉・介護職員の能力評価を行う。
資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施する。
上記の項目について、全ての福祉・介護職員に周知している。
キャリアパス要件Ⅲ
福祉・介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けており、以下のいずれかに該当する仕組みである。
経験に応じて昇給する仕組み。
資格等に応じて昇給する仕組み。
一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み。
上記の内容について、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての福祉・介護職員に周知していること。
職場環境等要件とは?
厚生労働省の資料によると、研修の実施などキャリアアップに向けた取り組みやICTの活用などの生産性向上の取り組み等を実施する「職場環境等要件」が定められています。
介護職員処遇改善加算:以下のうちから1つ以上取り組んでいる
介護職員等特定処遇改善加算:以下の区分ごとにそれぞれ1つ以上取り組んでいる
引用:介護職員の処遇改善について|厚生労働省
福祉・介護職員処遇改善加算の単位数(放課後等デイサービス)
(Ⅰ) | 8.4% |
(Ⅱ) | 6.1% |
(Ⅲ) | 3.4% |
(Ⅳ) | (Ⅲ)×90% |
(Ⅴ) | (Ⅲ)×80% |
3.加算対応以外の重要事項について
福祉・介護職員処遇改善加算の算定には、「施設の就業規則や各種規程の整備、毎年度の計画及び実績の更新、職員への周知、所轄官庁への届出」などの必要な業務があります。また毎年処遇改善加算が支払われたかの実績報告と毎年計画を提出することは必須なので、十分にご確認ください。
そして加算対応以外に、 Web サイトでの利用者の募集、 教材プログラムの整備、スタッフの採用と育成、給費の保険請求なども大切です。加算対応だけでなく他の事にも意識を向けておきましょう。
4.まとめ
今回は福祉介護職員処遇改善加算について細かく解説していきました。重労働の割に給料が低いというマイナスなイメージから福祉職員になりたいという人が少なくなっていますが処遇改善加算という制度によって福祉職員の地位や給料が上がっていくと考えられます。
福祉介護職員処遇改善加算は見落としがちな加算制度ですが、放課後等デイサービスを円滑に運営するためには必要な制度となります。放課後デイGrannyでは、放課後デイの運営におけるさまざまなサポートを受けることが可能です。お悩みのことがあればお気軽にお問い合わせください。
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