近年放課後等デイサービスは新規事業として参入する企業や、会社員からの独立起業の選択肢にあがり事業所が急増しています。しかし福祉事業は自治体との関わりが強く、ノウハウを知らないと運営できないのが実状です。
そこで経営に失敗したくない人に提案したいのが、「重症心身障害児向けの放課後等デイサービスのフランチャイズ」です。放課後等デイサービスのフランチャイズは種類が多く展開されていますが、本当に儲けることができるのか不安な面もあります。ネット上では「フランチャイズは儲からない」という噂も散見されます。
正直にお話しすると、フランチャイズは儲かることもあるし、儲からないこともあります。事業の進め方によって左右されるものですので、同じ放課後等デイサービスでもフランチャイズ運営本部のやり方によって異なってきます。
そこで今回は、放課後等デイサービスの独立開業は儲かるのか、利益を出すための戦略などについて重症心身障害児向けデイサービスをもとに解説していきます。放課後等デイサービスの起業が気になっている方は、ぜひご覧ください。
目次
1.放課後等デイサービスは儲かるのか?
1-1.利用者一人当たりの単価は?
1-2.受けられる補助金は?
2.重症心身障害児向け放課後デイは副業オーナーでも稼げる?
2-1.初期費用が少ない
2-2.有資格者である人材を採用するので業界・現場経験がなくても運営できる
3.重心放課後デイが儲かる理由
4.重心放課後デイの経営戦略とは
4-1.対象とするお子さんを重症心身障害児に限定する
4-2.設備が整っている
4-3.優秀なスタッフが揃っている
4-4.地域の特徴をよく理解する
5.まとめ
1.放課後等デイサービスは儲かるのか?
放課後等デイサービスのおもな収入源は、他の福祉事業と同じく自治体からの報酬です。ところが他の福祉事業との平均と利益額を比較すると、放課後等デイサービスは利益額が高いことがわかります。
障害福祉サービス全体の平均収支差 | 1,718,000円 |
放課後等デイサービスの平均収支差 | 3,758,000円 |
実際の収入は稼働日割合や利用者人数などにより異なりますが、稼働率50%時の営業利益は50万〜60万円ほどになります。
利用者一人当たりの単価は?
重心向け放課後等デイサービスの利用者1人あたりの報酬単価は約2万円ほどです。
重心向け放課後デイの報酬単価
| 報酬単価 | 定員100%の1日報酬(5名/日) | 定員40%の1日報酬 (2名/日) |
放課後 | ¥17,560/日 | ¥87,800 | ¥35,120 |
休校日 | ¥20,380/日 | ¥101,900 | ¥40,760 |
定員は5名までですので、例えば学校休校日に5名を預かると、10万円以上の収入があります。重心向け放課後デイは一般的な放課後等デイサービスよりも報酬単価が高く、収入額が大きくなりやすいのが特徴です。
受けられる補助金は?
国の省庁や自治体による補助金や助成金は上手く活用しましょう。
助成金
人材確保等支援助成金
時間外労働等改善助成金
キャリアアップ助成金
補助金
小規模事業者持続化補助金
2.重症心身障害児向け放課後デイは副業オーナーでも稼げる?
重症心身障害児向け放課後等デイサービス(以下、重心放課後デイ)は、副業でも稼ぐことができます。その理由は、需要に対して供給が追いついておらず、複数の施設を経営することでさらに利益があげられるからです。
新規事業を個人で立ち上げるにはそれなりの初期費用と経営ノウハウが必要ですが、重心放課後デイは上手く運営していくことで比較的どんな人でも初めやすい事業であると言えるでしょう。
重心放課後デイが副業オーナーから注目されている理由は3つ考えられます。
初期費用が少ない
有資格者である人材を採用するので業界・現場経験がなくても運営できる
1.初期費用が少ない
事業開始時はどのような業種であっても、初期にかかる費用が負担となります。例えば飲食店では、キッチン周りの設備が一つ一つ高額なものばかり。また、コインランドリーや美容室など個人経営が多い店舗ビジネスにおいても1000万円以上かかることもあります。
放課後等デイサービスをフランチャイズで始める場合、初期費用の内訳はこのようになります。
加盟金
物件取得・リフォーム費
開業前研修費
設備・備品
求人広告費
保険加入費
車両リース
2.有資格者である人材を採用するので業界・現場経験がなくても運営できる
重心放課後デイでは有資格者の採用が求められます。児童発達支援管理責任者・看護師・保育士・児童指導員・機能訓練担当職員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など)が運営に必要な有資格者に該当します。そのため、オーナーが無資格者・業界未経験者であっても重心放課後デイの運営は可能です。
オーナーの業務内容は、施設の経営、スタッフが働きやすい環境を作ること、サービスを利用している障害者の子供が自立するための仕組みを整え、過ごしやすい施設を作ることです。
3.重心放課後デイが儲かる理由
重心放課後デイは6歳〜18歳までの重症心身障害児が対象となり、学校が終わった放課後や休日に通うことができる施設です。重症心身障害児が年々増加している一方、共働き世帯も増えており、子どもを施設に預ける家庭が増えています。そのため、施設自体が足りなくなっているのです。
児童福祉法改正前は、福祉施設を開業できるのは一部の団体のみでしたが、施設の利用希望者が多くなり対応しきれなくなったため、民間企業も参入できるようになったのです。
かといって誰でも簡単に稼げるということではなく、重心放課後デイを始めるにあたって戦略は重要です。準備が整ったら、経営戦略を考える必要があります。
4.重心放課後デイの経営戦略とは
以上の理由から重心放課後デイは営業利益を出しやすいと言われていますが、スタッフの確保や利用者の集客など、様々な戦略を考えながら運営しなければいけません。
重心放課後デイの事業がうまくいっている施設は、小規模で利用率が高く安定した収益があることが特徴として挙げられます。反対に、大規模になると多くの利用者を受け入れることができますが、毎日一定の利用者を集めること、人材を確保する事が難しいようです。
単に利用者を増やせば良いということではなく、安定した利用率を得るには他の施設との差別化が必要です。
例えば、以下のような差別化ポイントが考えられます。
対象とするお子さんを重症心身障害児に限定する
設備が整っている
優秀なスタッフが揃っている
その地域の特徴をよく理解している
1.対象とするお子さんを重症心身障害児に限定する
重心放課後デイは、重症心身障害児たちの生活能力向上のために支援を行っています。そのためのサービス内容は、下記があげられます。
医療的ケア
個別リハビリ
積極的な課外活動
創作活動
地域の交流
イベント
これ以外にも、お風呂を設置することができれば入浴サービスが実施でき、これは施設の付加価値としてアピールできるポイントです。いくら供給が足りていないとはいえ、利用者はどのような事業所なのかを選んでいますので、基本的な支援のほかにも独自のサービスを提供できると集客が安定するでしょう。
2.設備が整っている
施設を開業するための設備基準が設けられているので、それらの基準を満たした上で差別化を図りましょう。設備によっては、事故や怪我などの原因にもなりかねません。教室内で遊んでいる際に、机や棚の角にぶつけてしまった場合の衝撃緩和・保護クッションなどの取り付け、ドアに指を挟んでしまわないように、クッションやドアの隙間を埋めて指が入らない状態にするなど、些細なことでも親御さんは安心できますよね。
利用者の親の立場になり、安心・安全な施設であることが大切です。
3.優秀なスタッフが揃っている
サービスや設備が整っていても、スタッフによってその施設の印象は変わります。またスタッフ不足であると、良い設備が整っているのにそもそも運営できない状況に陥ります。
優秀なスタッフが揃っていると、サービスの質も上がり、地域内で良い口コミが広がると利用者は自然に増え、安定した集客をすることができるでしょう。
4.地域の特徴をよく理解する
地域の人たちは何を求めているのか、どんな施設であると嬉しいのかを理解することも重要です。施設内だけでサービスの質をあげたり、高価な設備で過ごせる環境にあっても地域との関わりがなければ、良さを伝えることはできません。利用者からの口コミも、新規顧客には必要な要素となり得ます。施設のイベントとして、周辺のお散歩や講師を招いて音楽やダンス、アートに触れるなど、様々なイベントを行っている施設もあります。地域の特徴をとらえて、施設外のイベントも企画してみましょう。
5.まとめ
今回は重症心身障害児向け放課後等デイサービスは儲かるのか、経営利益や戦略についてご紹介しました。
重心放課後デイは有資格者を配置することで、オーナーが未経験でも経営しやすい職業です。稼ぎやすい業種ではありますが、ある程度の戦略を立てることは重要です。質の良いサービス・設備・スタッフを整え、地域の特徴を理解することで、安定した収益を得ることができます。
近年では特別支援が必要な児童が増えていることから、施設が足りない状況になっています。しかしながら、福祉経験者の独立など今後はさらに競合が増える可能性も高い分野です。他の施設との差別化を図り、利用率の高い施設を目指しましょう。
儲かるとか、、儲からないないとか、そもそも「お預かり」を当たり前のように書かれていますが、法律では障害のある子供へ「訓練」の場です。「オアズカリ」は問題なんです。商業主義の食い物にされているこの分野、嘆かわしいですね。