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執筆者の写真おぐ先生(小倉 丘礼)

放課後等デイサービスの収益モデルは?売上形態や損益分岐点を解説


放課後等デイサービス 収益モデル

放課後等デイサービスは事業所が受け取る報酬の大部分を国・自治体からの公金でまかなっているため、どの世帯の保護者にも利用がしやすい環境が整えられています。そのため放課後等デイサービスを積極的に利用できることから施設側は集客に悩むことなく、また利用料の未払いの心配もないため安定したビジネスモデルを組むことができます。


児童福祉法が改正された平成24年からさまざまな企業が放課後等デイサービスに参入していますが、まだまだ供給が追いついておらず、これから福祉事業をはじめる方にもチャンスがあります。今回は、放課後等デイサービスの収益モデルや参入するメリットをご紹介します。

目次

1.放課後等デイサービスの需要

2.放課後等デイサービスの売上形態

 2-1.利用者の負担額

 2-2.自治体からの公金

3.放課後等デイサービス収益モデル

4.放課後等デイサービスを運営するメリット

 4-1.初期投資が比較的少ない

 4-2.利用者負担が1割未満である

5.まとめ


1.放課後等デイサービスの需要

放課後等デイサービスは、6歳から18歳までの障害をもつ児童が、放課後や休校日に通うための施設です。児童福祉法改正までは一部の団体しか運営することが出来ませんでしたが、近年発達障害の子供たちが急増したことで受け入れる施設が足りなくなり、民間企業による運営を法改正とともに促すようになりました。


また、厚生労働省が公表している社会福祉施設等調査の概況では、平成26年の放課後等デイサービスは5,267事業所だったのに対し、令和2年には15,519事業所と大きく増加しており、社会全体で必要性が高い事業であることがわかります。


2.放課後等デイサービスの売上形態

放課後等デイサービスの売上形態

放課後等デイサービスの報酬のほとんどが、国・自治体からの公金で成り立っている収益モデルです。利用者の負担額、厚生労働省からの助成額を紹介します。


利用者の負担額

放課後等デイサービスの利用料において、100%の売上のうち9割が公金、1割が保護者の負担と基本的に決められております。しかし、障害福祉サービスの定率負担は、所得に応じて負担上限月額が設定されており、ひと月に利用したサービス量にかかわらずそれ以上の負担は生じません。

世帯所得

利用者負担上限月額

生活保護・市民税非課税世帯

0円

年収890万円まで

4,600円

年収890万円以上

37,200円

生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯でも通所しやすいよう、利用者負担は0円で、全額公金でまかなえます。それ以降は、世帯年収がおおむね890万円を境に利用者負担額は上下しますが、多くの家庭で月額の上限が4,600円で通うことができます。


仮に「月額の総利用料が10万円」の場合、生活保護・市民税非課税世帯は自己負担額は0円、年収890万円以下世帯は4,600円、890万円以上世帯は10,000円となります。そのため、放課後等デイサービスを必要としている家庭にもサービスが行き届くようになっており、積極的に事業所を探している保護者が多いです。


自治体からの公金

以上のように利用者負担を減らすため、自治体から事業所へ報酬が割り当てられています。重心児放課後デイの1日の報酬単価は、学校のある日は18,300円、学校がない日は21,120円と決められています(2022年3月現在)。そのため定員100%の5名を預かった場合、放課後の売上は91,500円、休校日の売上は105,600円となります。


重心児放課後デイの報酬単価

報酬単価

定員100%の1日報酬

定員40%の1日報酬

放課後

¥18,300/日

¥91,500

¥36,600

休校日

¥21,120/日

¥105,600

¥42,240

実質9割以上の利用料金を自治体が負担してくれるため、売上が回収できないリスクが他業種に比べ少なく、安定的に経営していくことができます。


3.放課後等デイサービス収益モデル

放課後等デイサービスは安定した経営が期待でき参入しやすい分野ですが、利用者にとっての負担額は変わらないため、単に施設を開設するだけでなく、どのようなサービスを提供するのか、コンセプト、療育内容などで他との差別化を図ることが大切になります。


これは実際に弊社が経営する直営店がオープンしてから1年間の収益表です。あくまでモデルにはなりますが、最初は手探り状態で運営しながら、10か月目でようやくノウハウが確立していき、稼働率が高くなっていきました。

放課後等デイサービス 収益モデル

稼働率が100%であれば嬉しいですが、実際には80%前後におさまります。Grannyの放課後等デイサービスのビジネスモデルでは稼働率40%が損益分岐点となり、ほとんどの加盟店が半年以内に損益分岐点を超えて黒字化しています。

4.放課後等デイサービスを運営するメリット

放課後等デイサービスの需要は年々高まっており、さらにビジネスとして成り立っていることで事業所を設立する業者が増えています。収支の面で特に目立ったメリットを2点ご紹介します。


初期投資が比較的少ない

放課後等デイサービスでは、他の業種に比べて初期費用が低いといえます。経済産業省の報告書によると、フランチャイズ事業の平均開業資金は合計3,200万円ほどになります。一方Grannyの放課後等デイサービスの加盟店では、初期費用はおおむね800万〜1000万円で開業されています。金融機関から融資を受ける場合には、自己資金は200万〜300万円があれば初期費用分の借り入れができることが多いです。独立開業には何かと資金が必要なため、初期費用を抑えて開業できる業態かどうかは非常に重要です。


利用者負担が1割未満である

さらに、通所したいご家庭にとって利用しやすい環境が整っていることも、放課後等デイサービスのメリットです。前章の通り、ほとんどの家庭では月額4,600円で通うことができ、9割以上の利用料を自治体の公金でまかなっています。そのため、事業所としても売上の回収が困難になる心配が少なく、また利用者に気に入ってもらえれば毎月利用してもらいやすいため、利用人数が安定してくれば集客への投資を減らすこともできます。


5.まとめ

放課後等デイサービスは利用料のほとんどが国・自治体からの公金で成り立っている収益モデルのため、安定して事業を運営することができます。福祉事業や障害福祉で独立・開業したいと考えている方は、放課後等デイサービスも視野に入れてみてはどうでしょうか。


事業利益を上げるポイントとして、既にビジネスモデルを確立している事業所のノウハウをすぐに受けられる「フランチャイズ」も注目されています。特に事業経験のない人には大きな武器になるため、是非一度検討して見てください。




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