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  • 執筆者の写真おぐ先生(小倉 丘礼)

【令和4年】放課後等デイサービスの報酬額や単価の算出方法を解説


放課後等デイサービス 報酬 単価

放課後等デイサービスを運営するにあたって、報酬に関する知識はしっかりとおさえておくべき項目の一つです。収入に直結するだけでなく、不正に報酬を受け取ると営業停止処分となることもあるからです。


この記事では、報酬がどのように発生するか、報酬を申請する方法について解説していきます。

目次

1.放課後等デイサービスの売上げの仕組み

2.放課後等デイサービスの報酬の算出方法

 2-1.基本報酬

 2-2.加算

 2-3.減算

3.報酬額が支払われるまでの流れ

 3-1.総利用額を計算する

 3-2.利用者負担上限額管理結果票の提出または受け取り

 3-3.国民健康保険団体連合会に請求する

 3-4.支払いを受ける

4.報酬を得るにあたって注意すべきポイント

 4-1.請求してから報酬の受け取りまでに1か月半かかる

 4-2.計算が複雑で手間がかかる

 4-3.加算や減算で報酬が変動する

5.まとめ


1.放課後等デイサービスの売上げの仕組み

放課後等デイサービスにおいて、サービスを提供した事業所が得る売上のうち、約9割が国・自治体の公金によってまかなわれます。利用者ごとに計算される1か月の総利用料のうち、利用者負担は極めて少額です。利用料は基本的に事業所が毎月末締めで計算し、翌月に利用者に請求します。


利用者の負担額は、世帯収入によって上限額が以下のように定められています。この上限額を超えた分は、公費での負担となります。

生活保護受給世帯

市町村民税非課税世帯

0円

世帯の年収が約890万円以下

(市区町村民税所得割が28万円未満)

4,600円

上記以外

37,200円

また、おやつ代などの実費については、1割の負担分や上限額とは別に利用者に請求します。総利用料の9割と利用者負担の上限額を超えた金額は、公費での負担分として、国保連(国民健康保険団体連合会)に請求します。請求から支払いまでの流れについては後ほど詳しく解説します。


2.放課後等デイサービスの報酬の算出方法

放課後等デイサービス 報酬 単価

放課後等デイサービスにおける報酬額は、厚生労働省によって定められた「単位」をもとに計算されます。基本的には1単位=10円として計算されますが、1単位当たりの金額は自治体ごとに「加算率」として定められており、事業所の地域によって異なるためそれぞれで確認が必要です。


報酬額を計算するにあたって、基本報酬に加えてより充実したサービスを提供した際に適用される加算や、基準が満たされていないときに適用される減算を加味する必要があります。各項目について、詳しく解説していきます。


1.基本報酬

基本報酬は、児童1人が利用した際に発生する報酬です。放課後デイサービスでは、サービス提供時間の区分や、医療的ケア児の該当の有無・点数により報酬単位が定められています。


令和4年4月時点での単価は以下の通りです。

放課後

休校日

一般的な放課後デイ

 区分1

 (サービス提供時間が3時間以上)

302~604単位 / 日

372~721単位 / 日

 区分2

 (サービス提供時間が3時間未満)

295~591単位 / 日

372~721単位 / 日

重症心身障害児向け放課後デイ

1,756単位 / 日

2,038単位 / 日


1人当たりの単価を算出

上記をもとに、定員5名の重症心身障害児向けの放課後等デイで1人当たりの単価を計算してみます。


放課後

休校日

基本報酬

1,756単位

2,038単位

送迎加算

74単位(往復)

74単位(往復)

合計

1,830単位

2,112単位

最低限の基本報酬と送迎加算のみで考慮すると、放課後は1,830単位、休校日は2,112単位となりました。1単位=10円とすると、重心児放課後デイの1日の報酬単価は、学校のある日は18,300円、学校がない日は21,120円となります。この報酬額からさらに、看護職員や児童指導員等を通常の人員基準以上に配置することで報酬が加算されていきます。


2.加算

決められた要件を満たしている場合には、基本報酬とは別に、加算を得ることができます。人員配基準で定められた人数以上の従業員を配置(常勤換算で1人以上配置)することによる人員基準加算をはじめとし、提供するサービスの内容によって、以下のような加算が定められています。ここでは重症心身障害児を対象とした定員5名の場合のみを掲載いたします。


児童指導員等加配加算

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・保育士等を配置する

374単位

児童指導員等を配置する

247単位

その他の従業員(指導員等や看護師等)を配置する

180単位


看護職員加配加算

(Ⅰ)

400単位

(Ⅱ)

800単位


福祉・介護職員処遇改善加算

福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ)

8.4%

​             (Ⅱ)

6.1%

             (Ⅲ)

3.4%

             (Ⅳ)

(Ⅲ)の90%

             (Ⅴ)

​(Ⅲ)の80%

福祉・介護職員処遇改善特別加算

1.1%

福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)

1.3%

                (Ⅱ)

1.0%


その他加算

専門的支援加算

374単位

家庭連携加算(1時間未満)

187単位

      (1時間以上)

280単位

事業所内相談支援加算Ⅰ

100単位

          Ⅱ

80単位

利用者負担上限管理加算

150単位

福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)

15単位

           (Ⅱ)

10単位

           (Ⅲ)

6単位

欠席時対応加算Ⅰ、Ⅱ

94単位

特別支援加算

54単位

強度行動障害児支援加算

155単位

送迎加算

片道37単位


3.減算

一方で、営業時間中に人員基準を満たしていない状態でサービスを提供したり、実施すべき業務を怠ったりした場合には、減算の対象となります。その程度や期間に応じて、減算される割合が定められています。放課後等デイサービスに係る減算の項目は以下の通りです。

定員超過利用減算

70%

従業員欠如減算

50~70%

児童発達支援管理責任者欠如減算

50~70%

通所支援計画未作成減算

50~70%

開所時間減算(4時間未満)

70%

      (4時間以上6時間未満)

85%

自己評価結果等未公表減算

85%

身体拘束廃止未実施減算

-5単位


3.報酬額が支払われるまでの流れ

放課後等デイサービス 報酬 単価

先ほど解説したように、報酬額のほとんどが公費によってまかなわれています。公費による報酬はどのように申請するのか、報酬が支払われるまでの流れを解説します。


1.総利用額を計算する

利用実績の記録をもとに、加算・減算を加味した、利用者ごとの1か月分の総利用額を月末締めで計算します。


2.利用者負担上限額管理結果票の提出または受け取り

事業所で上限管理を行わない場合は、サービス提供月の翌月3日くらいまでに「利用者負担額一覧表」を作成し、上限額管理事業所に提出します。


上限額管理事業所は、受け取った「利用者負担額一覧表」をもとに「利用者負担上限額管理結果票」を作成し、サービス提供月の翌6日までに関係施設に提出します。


3.国民健康保険団体連合会に請求する

サービス提供月の翌月10日までに国民健康保険団体連合会(国保連)に「障害児通所給付費・入所給付費等請求書・明細書」と「サービス提供実績記録票」、上限管理をする利用者がいる場合は「利用者負担上限額管理結果票」を提出します。提出は原則、国保連が提供する「簡易入力システム」または「取込送信システム」を利用してインターネットで行います。


4.支払いを受ける

サービス提供月の翌々月の中旬から下旬に報酬が支払われます。


4.報酬を得るにあたって注意すべきポイント

放課後等デイサービス 報酬 単価

ここまで、報酬の算出方法や仕組みについて解説してきました。報酬のほとんどが公費でまかなわれたり単価が定められていたりするなど、他の業種とは異なる点が多くあります。そこで、放課後デイの開業や運営にあたって注意すべきポイントについて解説します。


1.請求してから報酬の受け取りまでに1か月半かかる

先ほど解説した通り、国保連に報酬を請求してから実際に受け取るまでには1か月半程度かかります。開業したばかりの頃は利用者が十分に集まらない場合も考えられるため、余裕を持った資金計画を立てることが大切です。


2.計算が複雑で手間がかかる

請求業務は定められた期限内に複雑な計算や書類の作成をしなければなりません。管理者や児発管と兼任しながら請求業務を行うこともあるかと思いますが、請求業務が負担となり、サービスの質が低下してしまっては本末転倒です。また、国保連への申請期限である毎月10日を過ぎてしまうと、翌月に請求することになり、入金が遅れてしまいます。請求業務を効率化し日々のサービスの質を向上するために、計算ソフトを導入したり、事務スタッフを採用したりするのも選択肢の1つです。


3.加算や減算で報酬が変動する

放課後等デイサービスの報酬体系では、加算を取得することで報酬額も大きく変動します。減算とならないように人員を配置したり、日々の業務を確実に行ったりすることはもちろん、加算を意識したサービス内容の検討や人事採用を行うことも大切です。


5.まとめ

放課後等デイサービスで報酬を得るには、報酬単価をもとに計算したり、書類の作成をしたりする必要があります。サービスを充実させることにより加算がつき、収入の増加も見込めます。


フランチャイズ制度を利用して放課後等デイサービスを開業すると、資金計画や行政への申請のアドバイスなどのサービスを受けることができます。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。




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