放課後等デイサービスの運営において、基準を満たしていない場合や必要な業務を怠った場合、報酬が減額となる減算の対象となることがあります。減算にはさまざまな種類があり、それぞれに要件や減算額が定められています。
この記事では、開所時間が適用される要件や注意事項について詳しく解説していきます。
目次
1.放課後等デイサービスにおける報酬決定の仕組み
2.開所時間減算について
2-1.開所時間減算が適用される条件
2-2.開所時間減算の減算率
2-3.減算にかかわる注意点
3.開所時間減算の算定の例
4.開所時間減算とならないためのポイント
5.まとめ
1.放課後等デイサービスにおける報酬決定の仕組み
放課後等デイサービスではサービスを提供した事業所が得る売上のうち、約9割が国・自治体の公金によってまかなわれています。放課後等デイサービスにおける報酬額は、厚生労働省によって定められた「単位」をもとに計算されます。基本的には1単位=10円として計算されますが、1単位当たりの金額は自治体ごとに定められており、事業所の地域によって異なるためそれぞれで確認が必要です。
報酬額には、基本報酬に加え、より充実したサービスを提供した際に適用される加算と、基準が満たされていない場合に適用される減算を加味して計算されます。
加算・減算ともにさまざまな種類がありますが、今回は開所時間減算について詳しく解説します。
2.開所時間減算について
放課後等デイサービスでは各事業所ごとに、利用定員や営業時間等を運営規程に定める必要があります。例えば、利用定員が5名の重症心身障害児特化型の放課後等デイサービスでは、利用児童1名あたりの基本報酬が以下のように定められています。
| 単位数 |
放課後 | 1,756単位/日 |
休校日 | 2,038単位/日 |
原則、児童が利用した時間に関わらず基本報酬は一定です。報酬額が変わらないならば、営業時間を短縮すれば人件費を削減でき、収益に繋がると考えてしまう人もいるかもしれません。そこで、営業時間が一定未満の事業所に対して基本報酬を減額するという制度が、開所時間減算です。
開所時間減算が適用される条件
開所時間減算が適用されるのは、学校休校日において運営規程に定められている営業時間が6時間未満の場合です。
開所時間減算の減算率
営業時間に応じて、基本報酬から以下の割合の額が減算となります。ただし、児童指導員等加配加算を算定している場合は、基本報酬に加算した額を元に減算額を計算します。
営業時間 | 減算率 |
4時間以上6時間未満 | 15% |
4時間未満 | 30% |
減算にかかわる注意点
営業時間を午前(9時〜12時)、午後(13時〜16時)のように分けている場合でも、営業時間の合計が6時間なので、減算の対象にはなりません。
運営規程に定める営業時間とは、利用定員に応じた人員配置基準を満たし児童を受け入れる体制を整えている時間のことを指します。実際のサービス提供時間が6時間未満であっても減算の対象にはなりません。
送迎の際に直接支援業務従事者が添乗することにより、人員配置基準を満たさないものの、少なくとも直接支援業務従事者が1人以上事業所に配置されていれば、「児童を受け入れる体制」とみなすことができます。
営業時間には送迎のみを行っている時間は含まれません。
3.開所時間減算の算定の例
定員5名の重症心身障害児特化型の放課後デイにおいて、開所時間減算が適用された場合の減算額の計算方法を例を用いて見てみましょう。
※地域係数を1単位=10円として計算します。
休校日の営業時間が4時間以上6時間未満であり、その月の休校日の延べ利用人数が15名だった場合の1か月の減算額は、
2,038単位 × 0.15 × 10円 × 15名 = 45,855円 となります。
基本報酬 減算率 地域係数 利用人数
また、児童指導員等加配加算を「理学療法士等」で算定している場合の1か月の減算額は、
(2,038単位 + 418単位) × 0.15 × 10円 × 15名 = 55,260円 となります。
基本報酬 加算 減算率 地域係数 利用人数
4.開所時間減算とならないためのポイント
放課後等デイサービスの運営において、開所時間減算の対象とならないために心がけるべきポイントは、記録を残すことと人員確保です。
運営規程に適切な営業時間を記載することはもちろん、実際の営業時間を証明するために、記録をしっかり残すことも大切です。営業時間を証明できる記録として、業務日報やサービス提供記録、出勤簿などが挙げられます。
また、規定の営業時間を遵守するためには、人員不足は必ず避けなければなりません。余裕をもった人員確保やシフトの管理が大切です。
5.まとめ
はじめに運営規程を適切に定め、規程を遵守することは、開所時間減算の対象とならないためだけでなく、充実したサービスを提供するために最低限の必要事項です。
放課後デイGrannyでは、開業時の運営規程を定める際や職員採用時、報酬額の算定など、放課後デイの運営におけるさまざまなサポートを受けることが可能です。お悩みのことがあればお気軽にお問い合わせください。
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