
放課後等デイサービスは児童福祉法に基づいて許認可を受けて開業する児童福祉施設です。放課後デイサービスの管理者になるには資格が必要なのかわからない方や、放課後デイサービスを運営したいと考えているが具体的な業務内容がわからない方のために、管理者や従業員の業務内容や、多くの管理者がもつ悩み、解決策をご紹介します。
目次
1.放課後等デイサービスの管理者の仕事とは
1-1.生活環境の管理
1-2.事業所の管理
1-3.従業員の育成
1-4.保護者からの苦情や相談に応じる
2.放課後等デイサービスの職員に必要な資格
2-1.管理者
2-2.児童発達支援管理責任者(児発管)
2-3.保育士・児童指導員
2-4.機能訓練担当職員
2-5.看護職員
3.管理者の悩みとは
3-1.適切な支援方法が分からない
3-2.責任が重い
3-3.支援計画の作成が大変
4.まとめ
1.放課後等デイサービスの管理者の仕事とは

放課後等デイサービスの管理者に資格は必要ありません。具体的にどのような業務を行っているのかご紹介します。
1.生活環境の管理
放課後等デイサービスを運営するにあたって必要な設備及び備品を適切に備えます。ひとくちに放課後等デイサービスといっても様々な障害のある子どもが通所するため、みんなが安全に過ごすために施設をバリアフリー化するなど、それぞれの子どもに応じた工夫が必要です。
また、子どもや保護者が安心して放課後等デイサービスの支援を受けるために、事業運営で想定される様々なリスクに対して、訓練や対応マニュアルの策定、関係機関・団体との連携等を行う必要があります。新型コロナを代表とした感染症や災害時の対策、子どもの健康状態の急変時、犯罪発生時の備えをすることで、非常時にも落ち着いた対応をとることができるでしょう。
2.事業所の管理
子どもの発達支援は、保護者や学校をはじめさまざまな関係者のもとで成り立っており、放課後等デイサービスもその一員です。関係各所との連携をとりながら、放課後等デイサービスに期待される役割を適切に認識することも、適切な支援を提供し、 支援の質を高めていく上で重要です。
3.従業員の育成
従業員の知識・技術の向上は、放課後等デイサービスの提供内容の向上に直結するため、管理者の重要な管理業務の一つです。 人材の知識・技術を高めるために研修の機会を確保するとともに、知識・技術の習得意欲を喚起することが重要です。
また、職員一人ひとりの考え方や人間性を把握し、職員としての適性を評価し、労働環境を整備しましょう。施設運営では預かっている児童が大切ですが、児童を支援してくれる職員たちを育て、より魅力的な施設を目指していく必要があります。
4.保護者からの苦情や相談に応じる
時には、保護者から苦情や相談を受けることがあります。放課後デイサービスは、それぞれに必要な個別支援を行う場所です。ひとりひとり目標や課題が異なるため、児童にとってどんなことが「挑戦」や「学び」になるのか、職員と保護者が一緒に考えていけるような管理者を目指していきましょう。子どもや保護者の満足感、安心感を高めるためには、子どもや保護者に対する丁寧な説明を常に心がけ、保護者の気持ちに寄り添えるように積極的なコミュニケーションを図ることが必要です。
2.放課後等デイサービスの職員に必要な資格
一般放課後デイサービスと重症心身障害児放課後デイサービスの人員配置基準について、5つの項目項目からご説明させて頂きます。
管理者
児童発達支援管理責任者
保育士or児童指導員
機能訓練担当職員
看護職員
1.管理者
管理者の仕事は、職員の管理や外部との連絡、利用申し込みの調整など、事業所の管理業務です。多くの場合児発管が兼任していることが多いですが、業務に支障が出ないように兼務をする必要がありますので、「人件費削減できるから」とむやみな兼務はしないように注意しましょう。
2.児童発達支援管理責任者(児発管)
児童発達支援管理責任者とは、児童の特性やご家族の意向を踏まえて「個別支援計画」を作成したり、支援に関して中心的な役割を担う人のことです。それぞれの児童やご家族のご意向に沿った計画を考える必要があるため、非常に重要な役割です。
下記のような資格を持った人が一定の実務経験を経て、「相談支援従事者初任者研修」と「児童発達支援管理者研修」を修了すると、自発管の資格を得ることができます。(一部例外有)
保育士
児童指導員任用資格
社会福祉主事任用資格
精神障害者社会復帰施設指導員任用資格
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)以上
国家資格
医師・歯科医師・薬剤師・保健師・看護師・助産師・准看護師
理学療法士・作業療法士
社会福祉士・介護福祉士
精神保健福祉士
視能訓練士・言語聴覚士・義肢装具士
歯科衛生士
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師
管理栄養士・栄養士
実務経験要件については、保有している資格によって実務経験年数に差があり、研修終了要件については基礎研修+OJT+実践研修と別れています。
3.保育士・児童指導員
保育士や児童指導員が実際に児童に対して直接支援を行う職員のため、人員配置のベースとなります。職員のうち、半分以上は保育士か児童指導員でなければなりません。
1名以上は常勤である必要があり、児童の人数が10名までであれば2名以上、10名を超える場合は5名ごとに保育士か児童指導員を1名増やす必要があります。
重心児放課後デイの場合は1名以上の配置でも大丈夫です。
一般放課後デイ | 重心児放課後デイ |
1名以上は常勤 10名までの児童に対し2名以上 10名以上は5名ごとに1名増員 | 保育士または児童指導員どちらか1名の配置 |
4.機能訓練担当職員
機能訓練担当職員とは、身体的機能の改善や減退を目的とした訓練を行う場合に設置が必要となる職員のことです。児童一人一人に合わせた訓練方法がありますので、児童発達支援管理責任者が発案し、機能訓練担当職員が実行します。
一般放課後デイ | 重心児放課後デイ |
機能訓練を行う場合には必要 | 1名以上の配置が必要 |
5.看護職員
看護職員は、重症心身障害児を受け入れる場合のみ設置しなければなりません。そのため、一般放課後デイには配置義務がありませんが、重心児放課後デイの場合は必要です。
放課後等デイサービスは児童福祉法に基づいて許認可される事業であり、なによりも児童が安全に過ごせる居場所を提供するために、人員配置基準が定められています。基準の詳細については「放課後等デイサービスにおける人員配置|必要な人数や資格を解説」で説明しておりますので、あわせてご覧ください。
3.管理者の悩みとは

ここまで施設の特徴や管理者の実務についてご紹介してきましたが、施設を運営していくうえで管理者の方がどのような悩みをもつのか、また、その解決方法についてご紹介していきます。
1.適切な支援方法が分からない
ひとりひとりに必要な個別支援を行なうのがデイサービスです。しかし、時にはそれぞれに合った支援の方法がわからなくなる時があります。そんな時は、ご家族や児童発達支援管理責任者と相談しながら適切な支援を検討しましょう。
デイサービスの運営では、個別支援計画を作成する児童発達支援管理責任者が非常に重要な存在になります。児発管の質によって施設運営が大きく左右されるため、規定の人員を配置するための児発管ではなく、子どもたちのことを考えられる人材を採用しましょう。現状、実務経験や研修を受ければ児発管になることができてしまう事実もありますので、しっかり見極めることが大切です。
2.責任が重い
児童を預かる責任者のため、当然責任が付きまといます。ときには児童がけがをしてしまう可能性もあります。施設全体の責任者として様々な場面で責任を問われることがありますが、「責任者」として働くうえでは誰しもが抱える悩みです。そんな時は自身が何のためにデイサービスを起業したいと考えたのか思い出してみてください。一度原点に戻って考えることで、やりがいを感じることができるでしょう。
3.支援計画の作成が大変
児発管が管理者を兼任している場合は、支援計画の作成が負担になることもあります。児童ひとりひとりにとっての目標や課題が何か、実際に児童の教育を行なう保育士などの職員たちにとっても無理のないような計画を作成する必要があるため、支援計画を作る児発管が周りに頼れる環境づくりをしていきましょう。
4.まとめ
今回は、「放課後デイサービス」の管理者の業務内容や悩み、その解決策についてご紹介させて頂きました。現場で児童を預かるため、やはり大きな責任を負う仕事になるでしょう。
運営方法に不安がある場合は、重心児向け放課後等デイサービスのGrannyにご相談ください。
参考:
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