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執筆者の写真おぐ先生(小倉 丘礼)

重心放課後デイに需要はある?2024年以降の放課後デイ業界を予測


放課後等デイサービスのこれから

放課後等デイサービスは国の法律に基づいた制度のため、国の方針によって存亡が決まるといっても過言ではありません。


今回は放課後等デイサービスのサービス形態である一般的な放課後等デイサービス(以下一般放課後デイ)と重症心身障害児向けの放課後等デイサービス(以下重心放課後デイ)の将来性について、フランチャイズ本部を運営する放課後デイGrannyが重心放課後デイについて経営者の疑問に答えていく形式の動画を解説します。


目次

1.これからの放課後デイの需要

2.開業エリアの違い

3.放課後デイ運営は法改正に左右されやすい

 3-1.2024年の法改正予測

 3-2.一部の放課後デイを除外する動きがある

5.これからの子どもの傾向

6.現在の保護者の考え方の傾向

7.まとめ

1.これからの放課後デイの需要

盛り上がっている印象を受ける放課後等デイサービスですが、実際には制度が創設されてから10年ほどたっており、4〜5年前をピークに福祉業界的には盛り上がりは少しずつ下がり始めています。

放課後等デイサービスのこれから

福祉業界に精通している人間は、制度創立当初からチャレンジするケースがほとんどでした。その後他事業からの参入が相次いだのが、令和に切り替わる直前。特に一般放課後デイは全国の事業所数が令和元年時点で13,980箇所あり、これはあるコンビニエンスストアチェーンよりも多い事業所数となっています。


それだけの事業所数を抱える一般放課後デイでは、事業所運営の規制や適正化が進んでいるためマーケットの取り合いが発生しており、コンセプトをもって集客する必要があります。今から新規参入する方は後発組のため、他事業所との苦しい集客争いが容易に予測されます。


一方、重心放課後デイでは、国が2024年までに1,700事業所整備を目標にしているのに対し、現在は400事業所しかあらず数が足りていません。一般放課後デイは飽和状態に近づきつつありますが、重心放課後デイは事業所数を伸ばしていかなければならない状態のため需要が大いにあります。

一般放課後デイ

重心放課後デイ

事業所数

約14,000施設

約400施設

需要

数は十分にある

1,700施設まで増やしたい

コンセプト

運動・音楽等工夫が必要

重心そのもの

2.開業エリアの違い

一般放課後デイでは、対象となるお子さんが通う学校は一般的な学校のみならず知的障害を中心とする特別支援学校にまで広がるため、事業所を設立する地域は全国的にも多数存在しますが、重心のお子さんが通う学校は全国に196校と数が非常に少なく、ある都道府県では3か所しかないという状況もあります。重心放課後デイの事業所を設立する際は、重心のお子さんが通う学校に近い場所に作るのが原則なので、Grannyの重心モデルでは対象エリアが分かりやすいという違いがあります。


また、地方では重心のお子さんが通う学校数が少ないため、県内のお子さんが集まります。そのため都心部よりは地方に展開しやすく、特別なコンセプトを持たずシンプルな療育だけでもマーケットを獲得できるという強みもあります。

一般放課後デイ

重心放課後デイ

支援学校数

一般的な学校・特別支援学校

196校(肢体不自由・病弱の特別支援学校中心)

対象エリア

障害児を抱える各種学校の周辺

特別支援学校付近

マーケット

取り合いが激化

ある程度確保できる


3.放課後デイ運営は法改正に左右されやすい

放課後等デイサービスのこれから

2024年の法改正予測

放課後等デイサービスでは3年単位で行われる法改正ですが、これまでにも毎回報酬単価の見直しや基準の変更等があります。前回の2021年の法改正時は、コロナ禍により大幅な変更がなされませんでしたが、その時に出ていたテーマの一つが一般放課後デイの見直しでした。


そこでは、放課後デイの方向性を総合支援型と特定プログラム特化型に再編・類型化することが議論されました。類型化するということは、人員基準や報酬単価が変わる可能性があります。変更内容は法改正が行われる2024年4月の2〜3ヵ月前にならないと分からないため、運営方法を見直す必要がでてきます。さらに、法改正により2024年以降想定していた事業売上が下がる可能性もあります。


一部の放課後デイを除外する動きがある

一般放課後デイでは運動や学習、音楽による療育が行われていますが、一部の事業所では単なる運動・単なる学習・単なる音楽をもって療育としているケースがあります。例えば、学習障害(LD)のお子さんを学習塾のノウハウを使って学習のみを行っている場合です。こうした療育とみなされないサービスは今後放課後デイから除外され、国からの売上が皆無になるので、放課後デイとしての事業が成り立たなくなると思われます。


4.これからの子どもの傾向

近年の一般放課後デイでは知的障害でも療育によって改善傾向が見えた事例があるので、障害を持つ子どもが今以上に成長し、苦しみが改善されやすくなる可能性があります。そのため、今後は障害を持つ子どものくくりが減っていき、障害児とされる子どもも減ることが予想されます。


一方重心の子どもは年々増加しています。医療の発達により、生まれながらの病気や障害があるお子さんを救えるケースが増えました。そのため今後は重症心身障害児の数が徐々に増える事も考えられます。


5.現在の保護者の考え方の傾向

放課後等デイサービスのこれから

一般放課後デイでは、各事業所によるコンセプトを使い分ける保護者さんが増えています。月曜日は運動療育の事業所、水曜日は学習療育、金曜日は音楽療育の事業所に通うといったように、習い事のような位置づけと捉えている保護者さんが多くなっています。親御さんにとっては活用の選択肢が増えて嬉しいことです。


一方、重心放課後デイでは預けてきちんとした支援をしてほしいという保護者さんが大多数です。したがって、一般放課後デイでは時代の流れに応じて各事業所で特有のコンセプトが必要になってきます。


6.まとめ

放課後等デイサービスのこれから

今回は重心放課後等デイサービスと一般放課後等デイサービスを比較し、放課後等デイサービスの未来を考察しました。当初は開業のハードルの高さが心配された重心放課後デイですが、現状や未来を見ていくと意外にもハードルは低いことがわかります。


放課後デイサービスなどの障害福祉は高齢者介護の流れに準ずる傾向があります。現在の高齢者介護は重度の高齢者や要介護の高齢者向けに手厚く支援をしていく流れで、障害福祉も同様の流れです。最初は支援対象を広くもち、徐々に適正化して重度の方の支援をしていく方向性になることが国の方針として予測されます。


ビジネスにおいて将来性は大切な要素ですので、各放課後デイサービスの将来性をしっかりと把握すると良いでしょう。



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